有価証券報告書を見ていて、連結株主持分計算書の包括利益が気になった。
今までは多くの企業が、外貨換算調整額や未実現有価証券評価損益がプラスで、
「当期純利益<包括利益」の時期が続いていたから気にならなかったけど…、
・円高→外貨換算調整額がマイナス
・持合株式の株価下落→未実現有価証券評価損益がマイナス
というわけで3月期決算は「当期純利益>包括利益」な企業が一般的。

とまとめてみたものの、包括利益ってのがなんなのかイマイチ分かっていない。
国際会計基準は、純利益を廃止して包括利益に一本化するとか動いてるんだっけ?
そろそろちゃんと勉強しておかないと。

「包括利益とは特定期間における純資産の変動額のうち、資本取引によらない部分をいう。資本取引には増資・減資といった企業の所有者である株主との直接的な取引や新株予約権の発行といった将来株主になりうるオプション所有者との直接的な取引などが含まれる。」(伊藤邦雄「現代会計入門」)

財務分析・会計指標など | 2008/06/29 | TB(0) | コメント(2) | 印刷 | [編集]

株式十八番!さんに「株式投資に会計知識は必要か?」って記事が掲載された。
私の好みのネタだったから、この件について久しぶりに頭を整理したくなった。

私が最後にお酒を飲んだ日に「簿記・会計を学ばずに個別株投資を語るな!
と酔っぱらって、簿記2級くらい取ってから決算書を読まんかい、と書き殴った。
そしてちょっと冷静になって次の日に「個別株投資の意義は何か?」と、
個別株投資を通じて、自分自身の価値を高めることができるのか
をよく考えて投資スタイルを選んでね、ってところでこの話が終わってる。
私の中では「個別株の投資家=簿記・会計に携わる仕事をしてる人」なのだ。

とは言いながらも、私自身は決算書に対して冷めていたりもする。
企業の決算書って会計処理の選び方によっては、意外と利益操作できちゃう。
発表済みの利益予想の近似値になるように調整とか…(→利益予測の弊害)
こんな調子だから、決算書から適正株価を出せる、と積極的に主張はしない。
どちらかというと、悪い企業を見分けるために会計の知識が有効かな。

つまり、会計の知識があると外面が良くても中身がダメ、って見抜けるってこと。
でも問題は、みんなが気づいていないような超・割安株を決算書から見抜く、
なんてハイパーな技術を私自身が身につけられてないのが難点だな…。

財務分析・会計指標など | 2008/06/26 | TB(0) | コメント(2) | 印刷 | [編集]

暇だから2ヶ月前に発表された、住友不動産の掲題の変なのを読んでみた。
まず劣後ローン。銀行への公的資金投入でよく見かけた言葉。
というわけで、劣後ローンの解説を昔の新聞記事から。

 資金提供先が破たんしたときなどの返済順位が低い貸し出し。出資に近い性格を持つため、金融機関は自己資本比率を計算する際、劣後ローンによる調達資金を自己資本に算入することができる。ただ、自己資本の中心となる中核自己資本には含まれない。(2004/01/07 日経金融新聞)

これに新株予約権が付くってことは、いわゆるハイブリッド証券の一種だね。
R&Iのレポートにもあるよう、昔紹介した新日鉄のアレと同じようなもん。
まあ、架空の株主資本を計上できてしまう新日鉄ほど酷くはないけどね。
ただ気になる点が3つある。

 → 続きを読む

財務分析・会計指標など | 2008/04/28 | TB(0) | コメント(0) | 印刷 | [編集]

カルロス・ゴーン就任後の日産自動車は、V字回復の演出を代表として、
会計処理を変更して利益を操作したりするから、長期投資には不向き。
自動車会社が欲しいなら素直にトヨタを買え、というのが持論。
 → 関連記事「会計処理方法の変更から読む」(06/09/05)

日経平均がバブル崩壊後の最安値と騒がれた数年前から、
トヨタと日産の株価を比較してみると完勝!に見えるけど、
 → Google Finance TM・HMC・NSANYの比較 [2003/5/2〜]
   日本語で↑こういう便利なのはないのかなぁ。誰か知らない?
私はまだまだ決算書の読み込みが浅かった、ってことを
小宮一慶1秒!で財務諸表を読む方法で思い知らされた。

小宮氏はリバイバルプラン後のキャッシュフロー計算書に注目し、
2000年3月期、2001年3月期の営業CFの減価償却が、
投資CFの有形固定資産の取得を上回っている
ことを指摘。
経営再建のため、将来への投資を抑制せざるを得なかったため、
ハイブリッド技術や燃料電池の開発でトヨタやホンダに遅れをとった。

これこそが今のトヨタと日産の業績・株価の差を生んだ原因だろう。
将来への投資を怠ってでも利益を捻出しようとしていないか?
決算書でその辺りもちゃんとチェックしておかないとダメだね。

ちなみに、小宮一慶「1秒!で財務諸表を読む方法」は、
1秒だけ財務諸表を見るならとりあえず流動比率を見る、
と語っているだけで、表題のような神業は身につかない。
表題がウソなことを除けば、会計を使って企業や世の中を読み解く良書。
スタバではグランデを買え!」が会計からの切り口になった感じ。

財務分析・会計指標など | 2008/02/03 | TB(0) | コメント(3) | 印刷 | [編集]

自社株買い・自己株式の取得が良いのか悪いのか、まだよく分からない。
今のところは、あまり好きじゃないかな。

まずは、1984年のバフェットからの手紙「Dividend Policy」より
Shareholders would be far better off if earnings were retained only to expand the high-return business, with the balance paid in dividends or used to repurchase stock (an action that increases the owners’interest in the exceptional business while sparing them participation in subpar businesses).
バフェットさんによれば、株主にとっての理想は、
高収益の事業を拡大するために内部留保
余った資金について配当または自社株買い
であると。そこまで考えて自社株買いをしているのか?という点が疑問。

また、アラン・A・ケネディ株主資本主義の誤算では、
20世紀の名経営者、GEのジャック・ウェルチ氏が批難されている。
「ウェルチ時代、唯一最大の継続的投資は株式市場での自社株買い戻しだった。」
「自社株の買い戻しは資本還元としては有効であり、
 ストックオプション資格者のために株価を引き上げるには格好の手段だが、
 会社の将来の安定はまったく約束しない。」
自社株買いに力を入れすぎて、研究開発に資金を回さなかったために
会社の存在意義があいまいになり、長期的な価値が失われた
と語る。

自社株買いは、バフェットさんの基準に合わないものであれば、
ストックオプションを持ってる経営者の短期の利益にしかならないかもしれない。
キャッシュフローのバランスを崩してまで、自社株買いを行っていないか、
キャッシュフロー計算書で、営業CFと財務CFのバランスの監視も必要
だ。

最後に、自社株買いを発表しながら実施しない企業がよくある。
その企業が結果として何に資金を投じたのか、という点に大変興味がある。
自社株買いデータベース」なんて凄いもの作ってしまった方がいるので、
ぜひこれを参考にいろいろ調べてみたいね。(→かえるの気長な生活日記)

財務分析・会計指標など | 2007/12/23 | TB(0) | コメント(1) | 印刷 | [編集]

今月は非公開会社の株価評価を楽しんだ。
今後の経営計画を元にDCF法で株価を評価すると、
今すぐ会社を清算した場合(時価純資産法)の10分の1の株価になってしまう。
こんな摩訶不思議の会社が世の中には存在しているのである。

いろいろ調べるうちに、嫌いだったDCF法の意義もなんとなく分かったかも。
事業を継続すべきか否かの判断に使う
現経営陣が今後生み出すと予想される企業価値から買収金額を見積もる
そんなところかな。

でも、割引率の部分がやっぱり好きになれないから、
DCF法を株価評価に使うのはどうもしっくりこない。
DCFの考え方の一部分を切り出して、使うのはありだと思う。
前に書いたROEと株主資本コストを比較してみたりとか。→該当記事へ

財務分析・会計指標など | 2007/09/29 | TB(0) | コメント(0) | 印刷 | [編集]

多くの投資家の株式保有期間は極めて短く、短期の業績ばかりに目を向ける。
だからと言って、企業がそんなニーズに合わせて、
四半期決算を発表したり、発表のたびに今期予測を微妙に変えたり…、
そこまでする必要があるのだろうか?

たとえ投資家の目線が短期だったとしても、
常に株価は長期の視点にたった価格がついている。
(当期利益やキャッシュフローの10〜15年分といった感じで)
だから企業はそこまで投資家に媚を売る必要はないと思う。
「企業=金融商品」じゃないんだから。

財務分析・会計指標など | 2007/09/01 | TB(0) | コメント(4) | 印刷 | [編集]

ここのところ4−6月期の四半期決算発表があり、
減価償却方法を変更し、業績予想を下方修正する会社がある。
まだ浸透していないのか、これに対し市場の見方は否定的なようだ。

新しくなった減価償却制度を適用したことによって、
 減価償却費の増加 → 当期予想利益の減少
であれば、本来は長い目で見るとプラス材料。
かつて日産自動車が利益目標達成のために多用していた、
償却費を減らして利益を増やす会計処理とは話が真逆の世界。

週末に4月から始まった新しい減価償却を学んでみてはいかが?
国税庁の「法人の減価償却制度の改正のあらまし」が意外と分かりやすい。
週明けには選挙結果も加わって、安売りが期待できそうだしね。

財務分析・会計指標など | 2007/07/27 | TB(1) | コメント(0) | 印刷 | [編集]

企業価値評価で一般的?なDCF法がどうも肌に合わない。
企業間の比較は難しいし、割引率次第でいくらにでもなるような…。
そんなこと言ってる訳にもいかないから、
もう一度学び直し、納得行く形に変えて使ってみようかと。

例えば、株主資本コストをROEと比較する価値はありそう。
株主資本コストは、投資家が企業に期待するリターン。
だから、ROEが株主資本コストを下回る企業は、
投資家の期待を裏切ることになるから株価も下落するはず。


株主資本コスト
=安全資産の利回り+個別株式のベータ×市場全体のリスクプレミアム

まぁ細かいことは考えずに、
・安全資産の利回り=米国債(10年)の利回り
・市場全体のリスクプレミアム=5%
・ベータ値はブルームバーグのホームページから持ってくる

参考図書
 伊藤邦雄「ゼミナール企業価値評価」
 渡辺茂「ケースと図解で学ぶ企業価値評価」

財務分析・会計指標など | 2007/06/20 | TB(1) | コメント(0) | 印刷 | [編集]

事務所のお客さんの経営分析表をパラパラ見ていてふと思う。
ROAとか会計指標を見ても、あんまりピンと来ないことがある。
会社によって、分析するのに適した会計指標って違うものなんだよね。
(※そのへん、大津広一「企業価値を創造する会計指標入門」が詳しい)
取引のほとんどすべてを把握できる、小さな会社に対してさえこの調子なのに、
上場企業の会計指標を分析して、分かったような気になったら、アホだな。

財務諸表から垣間見える、会計政策から投資に値しない企業は分かりやすい。
でも、会計情報からこれはいいかな?って企業を見つけて、
そこから投資に至るまでのプロセスは、数字で判定できないもの。
自分の思い描いた、数年後の企業の姿が正しいかどうか、それにつきるかも。
株式投資が未来予想の巧拙を競うものならば、運用の分野に閉じこもらず、
いろんなものに接して、見聞を深めなければいけませんな。

財務分析・会計指標など | 2007/04/07 | TB(0) | コメント(2) | 印刷 | [編集]

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